中川晃教さん主演の「CROSS ROAD 悪魔の~バイオリニスト パガニーニ」。博多座でたった3日間の公演ですが、博多座会でチケットをとり、初日に観に行ってきました。
席はセンターブロックの真ん中あたり。舞台を見渡せるとても良い席でした。最近の平日公演では、観劇マナーで問題ありと思うことが多く、落ち着いて舞台を観ることができなかったのですが、今回は静かに鑑賞することができました。
ミュージカルの醍醐味
中川晃教さんが主演ですから、兎にも角にも歌。この公演はずっとナンバーが続きます。もちろんセリフはあるのですが、そのほとんどが音楽に乗せられた歌詞でつづられます。あの歌声にずっと浸ることができます。この公演は悪魔ですから、怪しく熱唱するシーンが多く、こたえられません。人生の岐路に立った時、悪魔からあの声で語り掛けられたら(歌いかけられた?)、破滅の方向への選択をしそうです。この方の声を聴いていて、「顔全体が共鳴装置になっている」といつも思います。すごいですよね。変幻自在に声を操っる感じです。
他に目を引いたのは、春野寿美礼さん。しばらくお姿を拝見していなかったのですが、慈愛に満ちた母親役でした。
私、「モーツアルト」で春野寿美礼さんが歌う「ヴァルトシュテッテン男爵夫人」の「星から降る金」が大好きですが、この役の歌も素敵です。パトロン役と母親役では、表現は異なりますが、染み入る歌声はさすがです。
私はこの方が宝塚歌劇の男役で活躍している姿を拝見しているので、あの時の野太い声が優しい高音に変わっていることが感慨深いです。宝塚歌劇の元男役出身の方は、低音での発声するときに実力を発揮すると思うことが多いのですが、春野寿美礼さんは高音の魅力がより冴えわたるように思います。「男役として十数年無理やり声を作っても、もともとの美声が変わることはないのね」というのが感想です。
少し長めの公演時間
東宝ミュージカルは、幕間を含めて3時間程度が一般的ですが、この公演は3時間20分。ロビーで開演を待つ人から、「あら、帰りの列車に間に合うかしら?」とつぶやきの声が聞こえました。確かに予約していた交通機関に間に合わなけば、悲劇です。事前に告知してほしかったというところですよね。
とは言え、大好きなミュージカルを長く観劇できるのは、私にとってはありがたい公演です。全編に音楽が流れ、それを歌唱するキャストはもちろんのこと、演奏するバンドの皆さんも大熱演でした。
この公演ではオーケストラボックスは設けず、舞台装置の裏側か舞台袖で演奏しているようです。カーテンコールの時に舞台上に登場してくれますが、「こんな少人数であの演奏をしていたのか」と、びっくりしました。
歌声を堪能する公演
今回の公演は、悪魔に支配された天才バイオリニストの物語ですから、暗い舞台で重たい内容です。でも、随所に笑いも取り入れていて、飽きさせない演出が見られます。ただ、この演出が心地よいか否かは、人それぞれの様で、残念ながら私の好みではありませんでした。とは言え、大好きな役者さんがガンガン歌うので、歌声を堪能するには最高の公演です。再々演されますかね。。。。?
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