十三代目市川團十郎白猿襲名披露、八代目市川新之助初舞台で人気の公演です。
私が観たのは平日昼公演でしたが、満員御礼が出ていました。今の歌舞伎は役者が誰であれ、満員にすることは難しいと言われていますが、歌舞伎界の宗家「成田屋」は別格のようです。
演目は「屋の根」「外郎売」「景清」です。2時間55分のうち、それぞれの演目の間には30分の休憩時間があり、実質の上演時間は1時間55分でした。
凄かった舞台
3幕をとおして感じたことは、「絢爛豪華」です。衣装しかり、舞台装置しかりです。
特に女形の打掛はとても豪華でした。あれほど美しい打掛を見たのは、坂東玉三郎さん以来のような気がします。舞台上に4人の女形が打掛を見せるように両手を広げて後ろ向きになるシーンは圧巻で、本当にあでやかでした。
そして、團十郎さん。最後の20分くらいの出演でしたが、彼が登場すると空気が変わりました。
團十郎さんの海老蔵時代の舞台は何度か観たことがあります。成田屋のDNAを引き継いで、恵まれた体格と容姿は本当に舞台映えしますよね。でも、生まれたときから将来が決められているということへの反発なのか、舞台に対する姿勢に「ちょっと、なんだかね~。」と感じることがありました。
それでも、今回の舞台で見せた「にらみ」はやっぱりすごかったです。あの大きな目と眉を動かしただけで役の存在を表現して舞台を支配するのは見事というばかりです。
イヤフォンガイドで團十郎さんは「成田屋の技を引き継いでいきたい」と、「芸」ではなく、「技」と言っていたのが印象的です。私は「受け継いだ『技』で『芸』に磨きをかけるのだろうな」と受け取りました。
あ、ちなみにこの「景清」のラストシーンの背景は伊勢海老です。海老蔵から團十郎に昇格したことを意味するのか、伊勢海老が天井に引き上げられていきました。
ちょっと気になるところも
第3幕の「景清」では、片岡愛之助さん演じる「秩父庄司重忠」が市川團十郎さん演じる「景清」を説得するシーンがあります。結構長セリフで現代語ではないところから、居眠りする観客の姿がチラホラ。。。歌舞伎は「どんな役者が出演しても満員にはならない」と言われる原因の一つなのでしょうね。「古典芸能だから仕方がない」ととするのか。新之助君が十四代目市川團十郎を襲名する時代には、どんな景色になっているのでしょうね。
ちょっと日ごろとは違っていた
今回の公演は、これまで観てきた博多座大歌舞伎とはいろんなところで違っていました。
観客席での撮影OK
團十郎白猿の襲名披露ということで、緞帳はこの公演のために贈られたもののようです。日ごろは、上演前でも「観客席内での写真撮影は禁止です」とアナウンスがありますが、この公演は撮影OKでした。もちろん、演目が始まっての撮影はご法度ですけどね。
観客が違う
9月とはいえ、残暑厳しい時期ですが、和服姿をたくさん見ました。時々、博多座で和服の会が催されますが、私が観た日は普通の日なのに、です。團十郎のご贔屓の特性を感じます。
そして、男性客も多い。やはり、男性は仕事をしている方が多いので、平日昼の公演で男性客はあまり見かけませんが、この日は違っていました。歌舞伎のうんちくを語りそうな方々ばかりでした。
役者ごとのチケット引き渡し所
1階ロビーに役者ごとのチケット引き渡し所がありました。ご贔屓席でしょうか?博多座でこの光景を観たのは初めてです。
2階ロビーの出店
いつもはカフェスペースとしてジュースなどを販売している4扉前に、高級白磁や高級和菓子のコーナーがありました。和菓子はお持ち帰り用ですが、いつのもの「きんつば」が霞んでいました。そして、白磁は有名作家の作品らしく、44万円の価格表示がされていましがた、「売約済み」の表示がされていました。観劇のついでに購入する人がいることを見込んでの出店でしょうから、歌舞伎界の宗家である團十郎さんのご贔屓は、ちょっと違うみたいでした。
やっぱり歌舞伎は見ておきたい
観劇は日常を忘れるいい時間です。ちょっと、避け気味だった歌舞伎ですが、やっぱり観るといいですね。次は、平成中村座です。小倉城を背景にした舞台装置と聞きますので、楽しみです。
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