エリザベートは1996年に宝塚歌劇で上演されて爆発的ヒットとなって以降、東宝ミュージカルでも上演されるようになりました。私はこのミュージカルの大ファンで、宝塚歌劇、東宝ミュージカルのどちらもたくさんのキャストで観てきました。それぞれの役者でしか出せない世界観があって、何度観ても飽きることはありません。舞台演劇の醍醐味ですよね。
今年1月から博多座でも上演が始まり、近々観劇に出かける予定です。
エリザベートフリーク
初演のトート役一路真輝さんを観たのち、2000年の東宝ミュージカル初演を帝国劇場で観て完全にはまりました。
東宝ミュージカルでは、主演のエリザベートは一路真輝さん、トートは山口祐一郎さんでした。宝塚歌劇の夢々しい世界も大好きですが、男役を男性が演じることで、違った世界を観ることができてから、本格的にエリザベート沼にはまりました。この時のルドルフ役が井上芳雄さんで、彼を知るきっかけでもありました。
このエリザベート熱は冷めることなく、3年後にはとうとうオーストリアのアン・デア・ウィーン劇場まで出かけたくらいです。エリザベートフリークが頂点の頃でしたから、チケット価格の2倍のプレミアを払って日本でチケットを手に入れました。この時のチケットは実券ではなく、メール文のみだったのでかなり不安でしたが、なんと、サブセンターブロックの前から2番目の席でもう夢心地の3時間でした。
ちなみに、オーストリア版はちょっと前衛的な演出でした。そして、さすがオペラの国です。出演者は圧倒的な歌唱力でしたし、観客の熱量もすごいものがありました。カーテンコールの際は、拍手や口笛だけではなく床を踏み鳴らして感動を伝えていました。音楽の都と言われる由縁を垣間見た気がしました。
エリザベートはヨーロッパを中心に各国で上演されているようですが、ミュージカルの本場アメリカブロードウェイでは上演されていません。そもそも、アメリカでは王制を敷かれたことがないので、理解されないようです。上演されている国が王制を経験した国であることを考えると、君主に対する国民の感情は文化なのでしょうか。生まれながらに国の中心である君主に対する国民の畏敬の念は、経験しないとわからないのかもしれません。
脚本家ミヒャエル・クンツェと作曲家シルベスター・スターリィ
ミヒャエル・クンツェさんはエリザベートの脚本と作詞、シルベスター・スターリィさんは作曲をしています。この二人の作品のうち日本で上演された作品はエリザベート以外に「モーツアルト!」、「レベッカ」、「マリーアントワネット」があります。どれも大人気で、再演、再々演されていますよね。私も機会あるごとに観ています。
私はこの二人の作品の音楽で多用されているバンドネオンの音が好きです。まあ、作曲家のシルベスター・スターリィさんの作る曲の特徴なのかもしれませんが、イントロダクションで「ファン・ファン~」という音と舞台にかかるハレーションのような照明効果で、それぞれの作品にのめり込んでいけるような気がします。ちょっとニッチな視点ですが、機会があったら音を聴いてみてください。
演出家 小池修一郎
小池修一郎さんはエリザベートの演出家です。宝塚歌劇団をホームグラウンドにして、外部での作品も数多く手がけておられます。エリザベートは一貫してこの方の演出で上演されていますが、東宝や脚本家のミヒャエル・クンツェさんの信頼も厚いのではないでしょうか。
私にとってうれしいのは、井上芳雄さんを発掘してくださったこと。まだ大学生だった井上芳雄さんをルドルフ役に抜擢してくださったことで、私の観劇時間を豊かにしてもらったと思っています。
また、私が宝塚歌劇で推し以外の生徒さんが主演する作品を観るときは、脚本・演出家が誰かで作品を選んでいました。その一人が小池修一郎さんでした。「でした」というのは、最近推しの生徒さんがおらず、宝塚歌劇から遠ざかっているからです。
小池修一郎さんの作品は登場人物一人一人を深く掘り下げているように感じて好きでした。中でも「華麗なるギャツビー」は原作を踏襲して宝塚歌劇のスターシステムの制限の中、それぞれの役を作っていておもしろいと感じた作品の一つです。この作品は、後日には井上芳雄さん主演でも上演されています。
ちなみに小池修一郎さん以外の宝塚歌劇作品は、正塚晴彦さんの脚本・演出作品が好きです。この方の言葉のチョイスが好きで、小劇場の作品に秀逸なものが多いと思っていますが、おすすめですよ。
まとめ
芸術はいろんな人の力の集結によって造りあげられるものですが、ちょっと私見を書いてみました。まあ、観劇の動機は演目と推しが出演するか否かが大きな比重を占めますが、脚本・演出・作詞・作曲に注目して選んでみるのも面白いですよ。
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