この施設があることは知っていましたが、松本清張の本を読むことがほとんどなく、映画やドラマを通じて知っているレベルだったので、今回初めて伺いました。
ちなみに、小倉城のすぐ近くです。
概要
- 観覧料:一般 600円、中・高校生 360円、小学生 240円
- 開館時間:9:30~18:00
- 休館日:毎週月曜日、年末年始
- 駐車料金:最初の1時間200円、以後20分ごとに100円
この記念館ができて今年が24周年ということです。
中に入ってみると、「作家の記念館ならこうよね」といった期待を裏切らない展示です。
生い立ちから没年までの年表を日本史、アジア史と一緒に紹介し、その途中に、書籍や直筆の書などが置かれています。
自宅の再現
よくある展示物以外では、松本清張の東京の自宅の一部を再現されています。家屋内には入れませんが、窓や壁をスケルトンにして、外から覗き見る感じです。展示されているのは、玄関、応接室、執筆室、書庫などです。応接間はエアコン室外機まで取り付けていました。また、執筆室はかなりリアルで絨毯のこげも再現されているので、本物を移転したのかな?と思います。松本清張は綿密な取材の上、執筆をしていたと聞きますから、この書籍はきっと一部でしょうけれど。
そして、松本清張の作品をいつでも読むことができるライブラリーもあります。空調の効いた部屋でゆっくりと読書できる環境があります。
松本清張の作品
松本清張は朝日新聞の新聞記者から作家になっただけあって、社会問題を取り上げた作品が多いということを年表と比較しながらみると、「なるほどね」といった感じです。
彼の作品は、初期は短編小説、次に推理小説、そして時代・歴史小説、ノンフィクションと変遷していったようです。
私が読んだことのある作品は、推理小説の「砂の器」のみです。伏線を綿密に引いて、結論に至るまでに全てが回収されるというところに、すごさを感じます。ただ、ちょっと次の作品に食指が伸びなかったのは、なぜでしょう?
それでも、映画はいくつか見ました。ちょっと趣向を凝らしたものとして、「砂の器」の初演映画(1974年)を上映しながら、生のオーケストラがピアノ協奏曲「宿命」を演奏するというイベントが、以前ありました。
映画と音楽会の良いとこ取りです。初演の映画は、ハンセン病の父子が放浪の旅をする映像が凄く、極寒の海に飛ぶ波の花の向こうに父子が歩く姿が記憶に残っています。
ただね、ちょっと残念ポイントがありました。映像の指揮とオーケストラの音がずれていたんですね。「な~んか、気持ち悪い」と思ったことを告白します。次にこんなイベントをするときには、映像の指揮者に従うことも検討してくれるといいな。。。ネガティブポイントですみません。
作家の記念館に思うこと
作家の作品は読者がいる限り未来もずっと残ります。新たな読者が発掘されれば、興味を持ってこの博物館に訪れてくれます。没後30年近く経ちますが、20歳代と思われる若い来場者が数人いました。
社会派の松本清張の博物館ですから、展示内容も固くなりがちですよね。来場者も知識を深めるというスタンスになりますし、リピーターはつきにくいでしょう。入館者はまばらでした。立派な建物に貴重で膨大な資料を持つ博物館の課題は大きそうです。